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ヒューレットパッカード(HPE)VS デル(DELL) 2025年ハイエンドサーバーを選ぶならどっち?

 

第1章 プログラマーから見た「サーバーベンダー論争」のモヤモヤ

HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)とDELL(デル・テクノロジーズ)は、2025年時点でもエンタープライズ向けハイエンドサーバー市場の中核的なプレイヤーです。どちらも第4世代・第5世代Intel Xeonや最新世代のAMD EPYCなどを搭載したラックサーバーや、高密度・GPU対応モデルを展開しており、純粋なスペック面だけを見れば「どっちを選んでもだいたい十分速い」という状況になっています。

一方で、現場のプログラマーやSRE、インフラエンジニアが日々向き合っているのは、「カタログスペックの差」よりも、OSやコンテナ基盤、CI/CDパイプライン、監視・ログ基盤といったソフトウェア側との“つながり方”です。たとえば、ファームウェア更新を自動化したい、障害時にRedfish APIから情報を引き抜きたい、ゼロタッチプロビジョニングをしたい——こうした要件に対して、ベンダーごとの“癖”が見えてきます。

ところが、一般的なベンダー比較記事は、CPUコア数やメモリスロット数、ストレージベイ数といったスペック表に終始してしまいがちで、「Ansibleから叩きやすいのはどっちか」「Redfishの実装の差でハマりやすいポイントはあるか」といった、プログラマーが本当に知りたい粒度にはあまり踏み込んでくれません。その結果、「HPE派」「DELL派」という宗教戦争のような雑談は盛り上がるのに、設計判断としての比較がふわっとしたまま、調達だけが先に決まってしまうこともあります。

本記事では、HPE ProLiant系(Gen11/Gen12周辺)とDell PowerEdge 16世代前後の「ハイエンド寄りのラックサーバー」を念頭に置きつつ、プログラマー視点で重要になるポイント——リモート管理、API/自動化、ファームウェア運用、ストレージ設計、サポート窓口とSLA、BCPとの整合性——を軸に比較・整理していきます。

ただし、個別の型番や構成、サポート契約によって状況は大きく変わります。本記事はあくまで「考え方の整理」として読み進めていただき、実際に導入・更改・設計変更を行う際には、株式会社情報工学研究所のような専門業者や、各ベンダーの販売パートナーと具体的な要件を詰めることを前提にしてください。そのうえで、プログラマーが「なるほど、この条件ならHPE優位/DELL優位だな」と納得して判断できる道筋を、一緒にたどっていきます。

第1章では、まず「論争になりがちなポイント」と「本当はあまり差がないポイント」を切り分け、後続の章で扱う論点の全体像を描きます。最後の章では、サーバーベンダー選定だけでは解けない問題——契約や運用体制、プログラム言語ごとの特性——に触れながら、「一般論の限界」と「案件ごとに専門家へ相談すべき理由」へとつなげていきます。


こうした流れを頭に置きながら読み進めていただくことで、「HPE vs DELL」という表面的な構図ではなく、「自分たちのシステムにとって合理的な選択は何か」という、より設計指向の視点で比較できるようになるはずです。

 

第2章 HPEとDELLのハイエンド機に共通する「ちゃんとしているところ」

まず最初に押さえておきたいのは、2025年時点のHPEとDELLのハイエンドサーバーは、「基盤としての品質・信頼性」という意味では、どちらも十分に成熟しているという事実です。両社とも、最新世代のIntel Xeon ScalableやAMD EPYCをサポートし、ECCメモリ、冗長電源、ホットプラグ対応ファン・ストレージといった、エンタープライズサーバーとして必要な基本機能を備えています。

さらに、BMC(Baseboard Management Controller)として、HPEは「iLO 6/7」、DELLは「iDRAC9」を提供し、どちらもブラウザベースの管理コンソールに加えて、RedfishベースのREST APIやIPMI、SSH経由の操作に対応しています。これにより、物理的にデータセンターへ行かなくても、電源オン・オフ、ハードウェアログ参照、ファームウェア更新、仮想メディアマウント等の多くの操作をリモートから行うことができます。

自動化という観点でも、両社ともDMTFが策定したRedfish標準に対応しており、構成情報の取得やファームウェア更新、イベントの取得などを、HTTP/JSONベースのAPIで扱えます。HPE iLO 6/7用のREST APIリファレンスや、DELL iDRAC9のRedfishガイドも公開されており、AnsibleやTerraformなどの構成管理ツールと組み合わせた運用設計が可能です。

OS・ハイパーバイザ対応という意味でも、主要なLinuxディストリビューション(RHEL、SUSE、Ubuntu LTSなど)やWindows Server、VMware vSphereなどの動作検証が行われており、ベンダーが提供するカスタムイメージやドライババンドル、インストールガイドが整備されています。特殊なカーネルモジュールや独自ドライバに依存しない限り、アプリケーション側から見て「サーバーベンダーの違いが問題になる」ケースは多くありません。


こうした共通点を整理すると、次のような表になります。

観点 HPE(ProLiant系) DELL(PowerEdge系)
CPU/メモリ世代 最新世代Xeon/EPYC対応、DDR5メモリ対応モデルあり 最新世代Xeon/EPYC対応、DDR5メモリ対応モデルあり
リモート管理 iLO 6/7 + Web UI + Redfish + IPMI iDRAC9 + Web UI + Redfish + IPMI
自動化API iLO RESTful API(Redfish準拠) iDRAC REST API(Redfish準拠)
冗長化 冗長電源・冗長ファン・RAID構成が一般的 冗長電源・冗長ファン・RAID構成が一般的
OS/ハイパーバイザ 主要Linux/Windows/VMwareをサポート 主要Linux/Windows/VMwareをサポート

このように、「物理サーバーとして必要な機能」はどちらのベンダーも十分に備えています。そのため、プログラマーが設計判断をするうえで本当に効いてくるのは、「どちらが速いか」ではなく、「どちらのエコシステムが自分たちの運用・自動化スタイルにフィットしているか」という点です。たとえば、既にHPE OneViewやGreenLakeを使っている環境と、Dell OpenManageを中心とした運用環境では、自然に選択肢が変わってきます。

第2章のポイントは、「どちらもインフラとして十分に“ちゃんとしている”」という共通認識を持ったうえで、あえて差が出る部分にフォーカスしていこう、ということです。以降の章では、その差が出やすい代表例として、リモート管理のUXと自動化、ファームウェア運用、ストレージとRAID、サポート・SLAといったテーマを順番に掘り下げていきます。

 

第3章 iLO vs iDRAC――リモート管理のUXはどこまで自動化フレンドリーか

プログラマー目線でHPEとDELLを比べるとき、最初に気になるのが「iLO」と「iDRAC」の違いでしょう。両者とも、サーバー本体とは独立したBMCとして動作し、WebブラウザからのGUI操作、仮想コンソール、仮想メディア、電源制御、ハードウェアログ参照など、基本的な機能はよく似ています。

2020年代半ば以降、両者ともRedfishベースのREST APIが強化されており、構成情報の取得やファームウェア更新、イベント取得などを完全にスクリプトから扱えるようになっています。HPE iLO 6/7では、Redfish準拠のエンドポイントに加えて、一部HPE独自拡張(OEM拡張)が提供されており、DELL iDRAC9も同様にRedfish標準に加えて独自の拡張項目を持っています。

UXという意味では、「どちらが絶対に優れている」と断定できるものではなく、むしろ使い慣れと運用スタイルの問題が大きいのが実情です。たとえば、

  • ブラウザの言語設定に応じて日本語UIが必要かどうか
  • 証明書の更新や2要素認証の設定をGUI中心で行うのか、スクリプトで自動化するのか
  • 仮想メディアをどの程度の頻度で使うのか(普段はPXEや自動プロビジョニングに寄せるのか)

といった運用の前提によって、「便利さ」の感じ方は変わります。


一方で、自動化フレンドリーかどうかを評価する際には、次のような具体的な観点が有効です。

  • Redfish APIでどこまで操作できるか(監視だけでなく設定変更・更新も含めて)
  • APIドキュメントの整備状況と更新頻度(最新版ファームウェアに追随しているか)
  • サンプルコードやAnsibleモジュール、Terraform Provider等のエコシステムの充実度
  • APIの振る舞いが世代や機種ごとにどの程度ブレるか(スクリプトの使い回しやすさ)

HPEはiLO RESTful APIのリファレンスを公開しており、Redfishベースで構成・保守のタスクを自動化できることを明示しています。 DEllも同様に、iDRAC9向けのRedfishガイドやホワイトペーパーを公開し、ファームウェア更新や仮想メディア操作をRedfish経由で行う方法を示しています。

実務的には、「どちらのベンダーを選ぶか」も重要ですが、「自社でどこまで自動化し、どこから先を専門業者やベンダーサポートに委ねるか」という線引きの方がより本質的です。たとえば、

  • 障害対応手順のうち、「iLO/iDRACでログを取って情報工学研究所へ渡す」部分までは自動化する
  • ファームウェア更新はRedfish経由でバッチ適用するが、ロールバックやトラブル時の切り戻しはベンダーサポートと連携して行う

といったように、「APIはあくまで運用手順の一部を機械化するための道具」と割り切る設計も十分に現実的です。この線引きを誤ると、「スクリプトは組んだが、異常系のハンドリングが壊滅的で余計に危険になった」という本末転倒な状態になりかねません。


第3章の結論としては、iLOとiDRACのどちらか一方が絶対的に優れているというより、「既存の自動化フレームワークや運用チームのスキルセットと整合しているか」を評価軸に置くべきだ、ということです。そして、APIの仕様解釈や異常系の扱いに不安が残る場合は、早い段階で株式会社情報工学研究所のような外部専門家にレビューを依頼し、設計段階から「壊れにくい自動化」を組み込んでおくことが、長期的なコスト削減とリスク低減につながります。

 

第4章 Redfish・API・CLI、構成管理ツールとの相性を洗い出す

HPEとDELLを2025年に比較するうえで、プログラマーにとって重要なのが「Redfish・API・CLIとの付き合いやすさ」です。両社ともBMC側でRedfish準拠のREST APIを提供しており、HPEはiLO RESTful API、DELLはiDRAC REST APIとしてドキュメントを公開しています。 これにより、サーバーごとの電源状態、センサー情報(温度・電源・ファンなど)、イベントログ、ブート設定、ファームウェアバージョンなどをHTTP/JSONベースで取得・変更できます。

HPE側は、iLO RESTful APIに加えて「iLOREST(HPE RESTful Interface Tool)」というCLIツールを提供しており、Windows/Linux上のスクリプトからRedfish経由でHPEサーバーを管理できるようになっています。 一方、DELL側はiDRACに対してRedfishだけでなく、RACADM(リモート管理CLI)やLifecycle Controllerのリモートサービスを用意し、ファームウェア更新やプロファイル適用を一括で行えるようにしています。

構成管理ツールとの相性という意味では、どちらのベンダーもAnsibleやTerraformなどから利用できるモジュールやProviderがコミュニティ/ベンダー双方から提供されています。運用チームが既にどちらかのスタックを使っているかどうかが、そのままサーバーベンダー選定のバイアスになりやすい点には注意が必要です。「どちらが技術的に優位か」という議論よりも、「自社が最小コストで維持できるPlaybook・Moduleはどっちか」を冷静に見た方が現実的です。


APIレベルの違いを評価する際、実務上は次のような観点で比較すると整理しやすくなります。

  • サーバーの世代・モデルが変わっても、同じスクリプトが流用しやすいか
  • Redfish標準スキーマでどこまでカバーでき、どこからOEM拡張に依存するか
  • ドキュメントの更新頻度と、サンプルコードの充実度
  • APIエラー時の振る舞いや、レートリミット・タイムアウト設定のしやすさ

たとえば、Redfishが標準化しているとはいえ、実際のエンドポイント構造やOEM拡張の扱いはベンダーごとに異なります。HPE iLO 6のRESTful APIでは、特定の機能がHPE独自の「Oem」配下にまとまっている一方、DELL iDRAC9でも同様にDell独自のプロパティが追加されています。 こうした差異を吸収するラッパースクリプトを自社で書くのか、外部のライブラリに乗るのか、あるいはそもそも「自動化の範囲」をもっと絞るのか——設計初期に決めておかないと、あとからサーバーベンダーを変えたときに「自動化スクリプトがすべて書き直し」という事態を招きかねません。

株式会社情報工学研究所のような外部の専門家に相談するケースでは、「Redfishにどこまで寄せるべきか」「どこからはベンダー固有APIを許容し、その代わりに移行時の手当てをどう用意するか」といった、設計レベルの相談になることが多いはずです。API仕様やCLIツールの違いは、単なる好みではなく、将来のリプレースやマルチベンダー構成への移行コストに直結します。第4章では、その“見えにくい将来コスト”を評価するための観点を整理しました。次の章では、APIとも密接に関連する「ファームウェア更新運用」を、停止時間とロールバックという観点から比較していきます。

 

第5章 ファームウェア更新と再起動地獄――停止時間とロールバック戦略の違い

ハイエンドサーバーの運用で、プログラマーが意外と影響を受けるのが「ファームウェア更新の設計」です。CPUのマイクロコード、BIOS/UEFI、BMCファームウェア、RAIDコントローラ、NIC、HBA……と更新対象は多岐にわたり、どのベンダーを選んでも、ある程度の頻度で再起動やメンテナンスウィンドウが必要になります。

HPEはiLOおよびSmart Updateツール群を通じて、サーバーのファームウェアをまとめて更新する仕組みを用意しています。iLO 6のユーザーガイドでも、RESTful APIを用いてファームウェアを管理する手順が示されており、自動化ツールからの一括更新が可能です。 DELLはLifecycle ControllerとiDRACを組み合わせ、サーバー本体の外からファームウェア更新タスクを実行できるようにしており、iDRACのRedfish APIやRACADM経由で更新ジョブを投入する運用が一般的です。

しかし、重要なのは「更新手段の有無」よりも、「障害時にどこまで切り戻せるか」「サービス停止をどこまで細かくコントロールできるか」です。具体的には、

  • クラスタ構成やロードバランサの設計と、ファームウェア更新順序の整合性
  • 更新失敗時に、旧バージョンへロールバックするための手順・ツールの有無
  • RAIDコントローラやNICファームの更新が、OSやドライバと整合しているかの事前検証

といった要素を、HPEとDELLのどちらを選ぶにせよ、あらかじめ洗い出しておく必要があります。


たとえば、HPE Smart ArrayやDELL PERCのようなRAIDコントローラは、ファームウェアのメジャー更新で挙動が変わることがあります。HPEのSmart Array SR Gen10コントローラは、RAID/HBAのMixed Modeや暗号化、キャッシュ動作など多機能である一方、その分だけファームウェアとドライバの整合性が重要になります。 DELL PERCも世代が進むにつれサポートするRAIDレベルやSAS/SATA/SSD対応が拡張されてきており、PERC12世代では最新PowerEdge向けに最適化された構成が案内されています。

こうした更新は、テスト環境やステージング環境での事前検証が理想的ですが、全く同じ構成の検証環境を用意できない場合も多いでしょう。その場合、

  • まずは非クリティカルなノードで限定的に更新し、ログと挙動を確認する
  • 更新前に必ずフルバックアップ/ボリューム単位のスナップショット、構成情報のエクスポートを取得しておく
  • 更新対象とバージョン組み合わせごとの既知の不具合情報(ベンダーKB等)を事前に確認する

といった、ベンダー横断の「運用パターン」を確立することが先決です。サーバーの選定は、そのパターンを実現しやすいベンダーかどうか、という観点で評価するとよいでしょう。

株式会社情報工学研究所が支援するケースでは、サーバー障害発生後に「どのバージョンのファームウェアやドライバが、どの時点で適用されたか」を丁寧に追跡し、原因究明と再発防止策の策定を行います。その経験から言えるのは、「HPEだから安全」「DELLだから危険」といった単純な構図ではなく、「変更管理のプロセスが整っているかどうか」が障害リスクを大きく左右するということです。ベンダー選定は、そのプロセスをどれだけ簡潔に実現できるか、という視点で捉える必要があります。

 

第6章 ストレージとRAID設計:HPE Smart ArrayとDELL PERCの思想を読み解く

HPEとDELLのハイエンドサーバーを比較するとき、ストレージとRAIDコントローラの設計思想の違いは、データ復旧やパフォーマンスチューニングの現場でじわじわ効いてきます。HPEは「Smart Array」、DELLは「PERC(PowerEdge RAID Controller)」というブランドでRAIDコントローラを展開しており、どちらもSAS/SATA/SSDドライブに対してRAID 0/1/5/6/10/50/60などの一般的なレベルを提供しています。

HPE Smart Array SR Gen10コントローラは、Mixed Mode(RAIDとHBAの同時運用)や暗号化(Smart Array SR Secure Encryption)、フラッシュバックアップ付きライトキャッシュ(FBWC)などをサポートし、性能と信頼性の両立を目指した設計になっています。 一方、DELLのPERCシリーズも世代ごとに機能を拡張しており、最新世代ではNVMe SSDを含む高速ストレージ構成や大規模な論理ボリュームをサポートしています。

プログラマー側から見ると、「RAIDレベルが選べる」「キャッシュが効く」といった表面的なスペックよりも、次のような点が重要です。

  • 障害時に、どのレベルまで論理構成を復元できるか(アレイ構成情報のバックアップ方法)
  • ログの粒度(どのドライブが、いつ、どのようなエラーを出したか)がどこまで追跡できるか
  • OS側から見たときに、「1つの巨大LUN」で見せるのか、「複数の小さめLUN」をアプリ用に切り出せるか

たとえば、データベースやログ集約基盤では、ランダムIOとシーケンシャルIOを分離した方が性能・復旧性ともに有利になることが多く、RAIDコントローラの設定でそれをどこまで表現できるかがポイントになります。また、暗号化機能を有効にする場合は、鍵管理や障害時の復旧プロセスがHPEとDELLで異なるため、「どのような障害パターンまで自社で対応できるか」「それを超えたときに、どのタイミングで情報工学研究所のような専門業者へ引き継ぐか」を事前に決めておく必要があります。


RAID設計の違いを簡単に整理すると、次のようなイメージになります(実際の仕様はモデルや世代によって異なるため、必ず各ベンダーの最新ドキュメントを確認してください)。

観点 HPE Smart Array SR Gen10系 DELL PERC(最新世代)
基本機能 RAID 0/1/5/6/10/50/60、Mixed Mode、暗号化オプション RAID 0/1/5/6/10/50/60、キャッシュ・バッテリバックアップなど
対象ドライブ SAS/SATA/SSD(モデルによりNVMe対応) SAS/SATA/SSD、最新世代でNVMe対応拡張
管理ツール HPE Smart Storage Administrator、iLO連携 DELL OpenManage、Lifecycle Controller、iDRAC連携

いずれのベンダーでも、論理ボリュームの設計と運用ルールが破綻していると、障害発生時のデータ復旧が極端に難しくなります。RAIDレベルの選択ミス、ディスク追加・交換の手順ミス、リビルド中の誤操作など、人為的な要因が絡むことも少なくありません。株式会社情報工学研究所のような復旧専門業者の立場から見ると、「どのベンダーのコントローラか」以上に、「RAID設計と運用手順がどれだけ一貫しているか」が、復旧成功率とコストに大きく影響します。

第6章で強調したいのは、HPE Smart ArrayかDELL PERCかという二択よりも、「アプリケーションとバックアップ設計を含めた全体アーキテクチャの中で、どのようにストレージを位置づけるか」が本質である、という点です。次の第7章では、その延長線上として、サポート窓口やパーツ供給、SLAの違いを「コードレビュー」のような視点で評価する方法を考えていきます。

 

第7章 サポート窓口とパーツ供給、障害対応SLAを「コードレビュー」の目で見る

ハイエンドサーバーを選ぶとき、プログラマーから見ると「どうせハードは壊れる前提でコードを書いている」ので、ハードウェアサポートは他部署の話に見えがちです。しかし、実際にはサポート契約やSLA(Service Level Agreement)の設計が、アプリケーションの可用性要件やリリース計画に直結します。メンテナンスウィンドウの取り方、障害時の復旧目標時間(RTO)と復旧ポイント(RPO)は、サーバーベンダーとサポートレベルの組み合わせで大きく変わります。

HPEは「Foundation Care」「Proactive Care」などのサポートメニューを展開しており、24x7のリモートサポートとオンサイトハードウェア修理、4時間応答やコール・トゥ・リペア(一定時間内の復旧)といったサービスレベルを選択できます。 一方、DELLは「ProSupport」「ProSupport Plus」を含むProSupport Infrastructure Suiteを提供し、24時間365日のサポート窓口、AIによる予兆検知、SupportAssistを使った自動通報などをうたっています。

プログラマー視点でこれらを比較する際には、契約書の文言そのものよりも、次のような点を「コードレビュー」のように読み解くとイメージしやすくなります。

  • 「4時間応答」は「4時間で現地到着」なのか「4時間で復旧試行開始」なのか、「4時間以内に必ず直る」という意味ではないこと
  • 部品在庫が国内・地域・現場のどこにあり、部品欠品時の扱いがどうなっているか
  • サーバー本体だけでなく、ストレージ拡張筐体やネットワーク機器をどこまで同一サポートでカバーできるか
  • 第三者製ソフトウェアとの協調サポート(Collaborative Support)の範囲

HPEのFoundation CareやProactive Careでは、対象ハードウェアに対してリモート診断と必要に応じたオンサイト修理が含まれ、対応時間帯や応答時間の違いで複数のサービスレベルが提供されています。 DELLのProSupport Infrastructure Suiteでは、PowerEdgeサーバー向けに24/7サポート、プロアクティブな監視と障害予兆検知、専任サポートマネージャ(環境を継続的に把握する担当者)などが提供され、インフラ全体の運用負荷軽減を狙った設計になっています。


とはいえ、どちらのベンダーを選んだとしても、サポートサービスは「魔法」ではありません。障害内容によってはログ採取や再現手順の整理が必要であり、オンサイト対応までの時間を、クラスタや冗長構成、バックアップからのリストアで吸収できるように設計しておく必要があります。ここで効いてくるのが、第1〜6章で見てきた「リモート管理・API・RAID設計」といった要素です。

株式会社情報工学研究所のような外部専門家に相談する場面では、単に「HPEにするかDELLにするか」だけでなく、「サポートSLAとシステム構成を整合させるには、クラスタ台数やフェイルオーバー設計をどうするべきか」「OSやミドルウェアのサポート窓口との責任分界をどう切るか」といった、より上位レイヤの設計も合わせて検討します。サーバーベンダーのSLAを個別の障害対応ロジックと見立てると、それを呼び出すアプリケーションコード側——すなわちシステムアーキテクチャ——をどう書くかが重要になる、という構図だと考えると分かりやすいでしょう。

 

第8章 マルチベンダー構成か単一ベンダー集中か――BCPと運用コストのトレードオフ

HPEとDELLを比較するとき、「どちらを採用するか」と同じくらい悩ましいのが、「片方に統一するか、マルチベンダー構成にするか」という判断です。これはBCP(事業継続計画)と運用コストの両方に影響する設計上の選択であり、単純に「ベンダーロックインを避けたいからマルチベンダーにする」と決めてしまうと、現場の運用負荷が跳ね上がることがあります。

単一ベンダー集中のメリットは、ライフサイクル管理がシンプルになる点です。HPEであればHPE GreenLake for Compute Ops Managementでオンプレミスやクラウド上のサーバーの展開・ライフサイクル管理を一元化できますし、 DELLであればOpenManage Enterpriseを使ってPowerEdgeサーバー群を一括管理し、ファームウェア更新や構成管理をコンソールから自動化できます。 教育コストや運用手順の数も抑えられ、「この機種だけ例外」というパターンを減らせるのは大きな利点です。

一方で、震災・政情・サプライチェーン混乱など、特定ベンダーに集中すること自体がリスクになるシナリオも考えられます。特定メーカーの工場停止やロジスティクス問題で保守部材の供給が滞ると、「サポート契約上は4時間オンサイトなのに、そもそも部品がない」といったギャップが発生する可能性もゼロではありません。このリスクをどう評価するかは、業種・規模・求められる稼働率によって大きく変わります。


マルチベンダー構成のメリットは、まさにこのサプライチェーンや技術的リスクの分散です。HPEとDELLを混在させることで、あるベンダーで重大なファームウェア不具合が発生した場合でも、別ベンダーで提供するサービス領域を優先して維持するといった戦略が取りやすくなります。また、用途ごとに得意なプラットフォームを選びやすくなる(たとえばGPU密度重視の構成と、ストレージ容量重視の構成でベンダーを分ける)といった柔軟性も得られます。

ただし、その代償として運用の複雑性が増します。BMCの操作体系、ログフォーマット、イベントIDの意味、ファームウェア更新手順、サポート窓口とのやりとりの流儀など、覚えるべきことは単純に2倍以上に膨らみます。監視設計や自動化スクリプトも、「HPEパス」と「DELLパス」を両方用意する必要が出てきます。

BCPの観点からは、「障害が起きたときに、どのレイヤで復旧するか(アプリ・仮想マシン・ストレージ・ハードウェア)」「どのくらいの時間とコストでリソースを再確保できるか」を踏まえて、マルチベンダーの必要性を判断することが重要です。コンテナ基盤やクラウドと組み合わせて、アプリケーションを別のデータセンターやクラウド環境へフェイルオーバーできるのであれば、オンプレミスの物理サーバーベンダーを分散させる意義は相対的に下がります。

株式会社情報工学研究所に相談するケースでは、データ復旧や障害対応の実績から、「どの障害パターンが実際によく起きているか」「どのレイヤで冗長化しておくと復旧コストが下がるか」といった、統計的な観点も踏まえてベンダー構成を検討できます。机上の理想論ではなく、現実のインシデントに基づいたBCP設計を行うことで、「マルチベンダーが本当に必要な部分」と「単一ベンダーでシンプルにすべき部分」が見えてきます。

 

第9章 「どっちが速いか」ではなく「どのアーキテクチャに載せるか」を決める

ここまで見てきたように、2025年のHPEとDELLのハイエンドサーバーは、CPU世代・メモリ容量・NVMe対応・ネットワーク帯域といったハードウェアスペックでは大きな差がつきにくくなっています。HPE ProLiant DL360 Gen12のように最新世代のXeon 6とDDR5メモリ、NVMeストレージを組み合わせた構成もあれば、DELL PowerEdge 16世代サーバーも同様に最新CPUと高速ストレージに対応しており、どちらも仮想化・データベース・AI推論などの重いワークロードに十分対応できる設計です。

そのため、プログラマーが本当に決めるべきなのは「どちらが速いか」ではなく、「自分たちのアーキテクチャをどう設計し、その上にHPE/DELLのどちらを載せるか」です。たとえば、

  • すべてを仮想マシン前提にするのか、Kubernetesなどのコンテナ基盤を前提にするのか
  • オンプレミス中心なのか、クラウドとのハイブリッド構成を前提にするのか
  • Statefulな大規模データベースをオンプレミスに残し、ステートレスなフロントエンドはクラウドでスケールさせるのか

といったアーキテクチャの選択が先にあり、その上で「その構成を実現しやすいサーバーベンダーと運用ツールはどれか」を検討するのが自然な流れです。

HPE GreenLake for Compute Ops Managementは、オンプレミスとクラウドを含むサーバー群の展開・ライフサイクル管理をサービスとして提供し、Webポータルから配備やポリシーベースのコンプライアンス管理ができる仕組みを整えています。 DELLのOpenManage Enterpriseも同様に、一つのコンソールから多数のPowerEdgeサーバーを監視・管理し、自動化テンプレートやプラグインを通じて運用効率を高める方向性を打ち出しています。


プログラマーの立場から言えば、サーバーベンダーの違いは「インフラAPIの違い」として抽象化することもできます。たとえば、

  • 「ノードを1台追加したい」というリクエストに対して、どのAPI・ツールチェーンを通じて実現するか
  • 障害検知から自動フェイルオーバーまでの流れを、どこまでインフラ側で吸収し、どこからアプリ側で握るか
  • ログやメトリクスの収集を、どこまでベンダーツールに任せ、どこから共通のオブザーバビリティ基盤に統合するか

といった設計は、HPE/DELLどちらを選んでも必要になります。むしろ重要なのは、「ベンダー依存部分」を明示的に分離し、将来的に別ベンダーやクラウドへ移行する際に差し替えやすいインターフェースを定義しておくことです。

株式会社情報工学研究所のような第三者に相談する意義は、まさにこの「ベンダー依存部分」の切り出し方と、「移行しやすさ」と「現実的な運用コスト」のバランスを一緒に設計できる点にあります。HPEを選ぶにせよ、DELLを選ぶにせよ、ある程度以上の規模になれば「アーキテクチャ設計 → ベンダー選択 → 詳細構成設計 → 障害時の復旧設計」という順番で決めていく方が、長期的には合理的です。

 

第10章 結論:2025年のHPE vs DELLは「好み」ではなく設計思想と現場運用で選ぶ

ここまで、HPEとDELLのハイエンドサーバーについて、プログラマー視点で重要な論点――リモート管理(iLO/iDRAC)、Redfish APIとCLI、自動化ツールとの相性、ファームウェア更新運用、ストレージとRAID設計、サポート窓口とSLA、マルチベンダーか単一ベンダーか――を順番に整理してきました。その結果として見えてくるのは、2025年のHPE vs DELLは「スペック競争」というより、「どの設計思想と運用文化に近いか」という観点で選ぶべき局面に来ている、ということです。

たとえば、既にHPE GreenLakeを中心とした運用基盤やHPEストレージ/ネットワーク製品を多く採用している環境であれば、HPE ProLiant Gen11/Gen12への統一は、教育コストや運用の一貫性という意味で合理的な選択になりえます。逆に、DELLのOpenManageポートフォリオを活用してPowerEdgeサーバーだけでなくストレージやネットワークも一括管理している企業であれば、PowerEdge 16世代を中心とした設計に寄せる方が自然でしょう。

しかし、どちらを選ぶにせよ、「一般論」として語れる範囲には明確な限界があります。実際の案件では、

  • 既存システムの制約(古いOS・商用ミドルウェア・特殊なライセンス形態など)
  • データの重要度や機密性、法規制・業界ガイドライン
  • 社内の運用体制・スキルセット・24/365対応の可否
  • 既に契約している保守・サポート・クラウドサービスとの組み合わせ

といった要素が複雑に絡み合います。表面的に「HPEのほうがセキュリティ機能が豊富」「DELLのほうがサポートが手厚い」といった印象論だけでサーバーベンダーを決めてしまうと、後から運用チームや開発チームにしわ寄せが来ることになりかねません。

プログラマーにとって大切なのは、「HPE派」「DELL派」といったラベルではなく、「自分たちのシステムの前提条件と、求める運用・BCPのレベルを言語化できているかどうか」です。そのうえで、サーバーベンダーや構成の候補を複数パターン用意し、「障害発生時の挙動」「データ復旧のしやすさ」「将来の拡張やリプレースのしやすさ」を含めて比較検討するのが、エンジニアとして合理的な姿勢と言えるでしょう。

株式会社情報工学研究所は、サーバー障害・RAID崩壊・ファームウェアトラブルなど、さまざまな“最悪のケース”と向き合ってきた立場から、「単に速い・安いサーバー」ではなく、「事故が起きても致命傷にならない設計」を一緒に考えることができます。もし、HPEかDELLかの選択で迷っているのであれば、カタログや一般的な比較記事だけでは分からない「具体的な条件下でのリスクとコスト」を、ぜひ個別に相談してみてください。

 

補足セクション:主要プログラミング言語ごとの注意点

最後に、サーバー選定とあわせて検討しておきたい「プログラミング言語ごとの注意点」を簡潔に整理しておきます。ここではHPE/DELLのどちらを選ぶ場合でも共通する観点として、代表的な言語の特徴と、インフラ設計と絡めて気をつけるポイントを挙げます。


C / C++

  • メモリ管理やポインタ操作を直接扱うため、OSやハードウェア依存のバグがサーバー障害と絡むことがあります(例:ドライバやエージェントの不具合)。
  • NUMA構成やCPUソケット数が多い環境では、スレッド配置やメモリアロケーション戦略を誤ると性能が頭打ちになりやすいため、サーバー構成とチューニングをセットで設計する必要があります。

Java / C#

  • GC(ガーベジコレクション)による一時的な停止時間が、低レイテンシを求めるシステムではボトルネックになりえます。CPUコア数やメモリ搭載量が十分でも、GC設定が不適切だとハードウェアのポテンシャルを引き出せません。
  • アプリケーションサーバーやランタイムのサポート期間、OSとの組み合わせ(LTS版かどうか)も含めて、サーバーの更新サイクルと整合させることが重要です。

Python / Ruby / PHP

  • インタプリタ実行が中心のため、CPUクロックやシングルスレッド性能が効きやすく、マルチコアの恩恵を引き出すにはプロセス数やワーカー数の調整が不可欠です。
  • 大量のモジュールやパッケージに依存しがちなので、OSディストリビューションやライブラリの更新と整合しないと、移行時に「ビルドできない/動かない」問題が起きやすくなります。

JavaScript / TypeScript(Node.js)

  • イベントループとノンブロッキングI/Oを前提とした設計のため、ブロッキングするネイティブアドオンや外部サービスとの同期通信がボトルネックになりえます。
  • コンテナ上で動かすことが多いため、サーバー側ではコンテナ数・ノード数・スケール戦略を踏まえてCPU・メモリ・ネットワークを設計する必要があります。

Go / Rust

  • GoのゴルーチンやRustの安全な並行処理を活かすことで、多数の接続を1台のサーバーに集約しやすくなりますが、その分だけ「1台あたりの故障影響範囲」が大きくなります。クラスタ設計やフェイルオーバー戦略とセットで検討すべきです。
  • 比較的新しい言語であるため、OSやドライバレベルのトラブルシュート情報が従来言語ほど豊富でないケースもあり、障害対応時には言語ランタイム/コンパイラのバージョンも含めて切り分けが必要です。

シェルスクリプト / PowerShell

  • 運用自動化の“糊”として多用されますが、曖昧なエラーハンドリングやテキストパースに依存したスクリプトは、サーバー世代やOSバージョンが変わったときに壊れやすい部分です。
  • HPE/DELLそれぞれのCLIツールやAPIクライアントをラップする際は、「ベンダー固有部分」と「自社標準インターフェース」を分けておくと、将来のベンダー変更に対応しやすくなります。

どの言語を採用する場合でも、「アプリケーションの特性」「ミドルウェアとOSの組み合わせ」「物理サーバーの構成」が相互に影響し合います。一般論としての「この言語ならスケールしやすい」「このベンダーなら安心」といった話だけでは、個別案件の細かい条件まではカバーしきれません。

もし、現在運用しているシステムや、これから構築しようとしているアーキテクチャについて、「どのサーバーベンダーを選ぶべきか」「どの言語・ミドルウェア構成が現実的か」で悩んでいる場合は、ぜひ株式会社情報工学研究所に相談してみてください。サーバー障害対応やデータ復旧の現場で蓄積した知見をもとに、「HPEかDELLか」という表面的な選択だけではなく、「あなたの案件にとって破綻しない設計とは何か」を一緒に検討することができます。