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2025年:地震に強いファイルサーバーの設計の基本

解決できること・想定課題

・事業継続計画が未整備で震災時にサーバー復旧が遅れ、経営判断が困難になるリスクを回避できます。

・法令遵守を前提に耐震・冗長化設計を行い、投資対効果を経営層に明示して合意形成を促進できます。

・フォレンジック対応とBCP三段階運用を組み込むことで、サイバー攻撃や災害時の証跡保全を実現できます。

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地震リスクの現実と事業継続の必然性

我が国は欧米諸国と比較して地震発生頻度が高く、気象庁の統計では過去50年で震度6弱以上の揺れが全国で1,000回以上観測されています[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。特に都市部に設置されたデータセンターは、建物自体の耐震性能が不十分だと震災直後に甚大な被害を受け、サーバーが停止した結果、企業活動全体がストップするリスクが顕在化しています[出典:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査報告』2024年]。

2011年の東日本大震災では、多数の企業が事業継続計画(BCP)を策定していなかったため、復旧作業に時間を要し、売上減少や取引停止などで年間1兆円超の経済損失が発生しました[出典:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査報告』2024年]。この経験を踏まえ、2023年3月に改定された内閣府の事業継続ガイドラインでは、IT インフラの耐震化とデータ多重化が必須事項として明記されました[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。

したがって、企業が震災時においてもデータを保護し、速やかに業務を再開するためには、耐震設計と冗長化戦略を一体化したファイルサーバー設計が不可欠です。これを怠ると、ひとたび震災が発生すると全社的な信用失墜を招き、経営継続が困難となります[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。

ALT: 地震後の事業継続フロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
震災時の損失を最小限に抑えるためには、現状のデータセンター耐震性能を正確に把握し、BCP未整備のリスクを上層部に説明してください。

Perspective
震災リスクを過小評価しがちですが、過去の大規模災害から学び、数値を用いてリスクを可視化することが重要です。

耐震ファイルサーバー設計の基礎

この章では、ファイルサーバーを設置するラックや機器自体の耐震対策を中心に解説します。構造体だけでなく、非構造部材や設備機器も含めた耐震設計の要点を押さえ、震度6強以上の地震動にも耐えうるシステム構築を目指します。

耐震固定とアンカーボルト

サーバーラックは収納ラックに固定し、アンカーボルトで床または壁に固定することが基本です。これにより、地震時の揺れでラックが転倒したり滑動したりするリスクを抑えます。具体的には、ラック底部の固定金具を用いて床面にボルト留めし、ラック背面を壁面に固定する耐震用ブラケットの設置が有効です[出典:国土交通省『災害に強い官公庁施設づくりガイドライン』2020年]。さらに、機器を収納する際には、ラック内棚板に滑り止めシートを敷き、サーバー本体が棚板上で移動しないようにします[出典:国土交通省『建築設備耐震設計・施工指針』2018年]。

ラック固定だけでなく、ラックに収納するサーバー本体も専用の耐震バンドやホルダーで固定することが望ましいです。サーバー筐体とラック内フレームを結束し、筐体自体が揺れに対して一体化することで、内部部品(HDDやSSDなど)が破損するリスクを軽減します[出典:国土交通省『災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)』2019年]。

免震/制振構造の活用

建築物自体が免震または制振構造を持つ場合、サーバールーム全体が地震エネルギーを低減できるため、ラック・機器レベルの対策と合わせて実施することで、さらなる耐震性向上が期待できます。免震構造は、建物基礎にゴムや摩擦ダンパーを用いて地震動を吸収・遮断し、上部構造の揺れを大幅に抑える仕組みです。一方、制振構造は、建物内部に設置したダンパーで地震エネルギーを熱に変換し、揺れを減衰させます[出典:国土交通省『災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)』2019年]。

免震・制振構造の導入事例としては、中央省庁の災害拠点施設で採用されており、震度7相当の揺れでも内部設備に大きな損傷を与えない設計が施されています[出典:国土交通省『災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)』2019年]。特に、サーバー室の床全体を免震層で支持し、ラックはフロア上に置くだけで揺れから保護されるケースがあります。

機器選定と耐震等級

耐震設計では、サーバー機器そのものが耐震認定を受けているかも考慮すべきです。日本の建築基準法改正(1981年6月)以降に建築された施設は、耐震性能がⅠ類相当を満たす必要がありますが、サーバー室など水損の許されない設備室では特に高い耐震等級が求められます[出典:国土交通省『建築設計基準』2023年]。

サーバー機器メーカーは、JIS耐震試験米国NEBS Level 3などの認定を取得しているモデルを選定すると、機器自体の耐震性能が担保されます。NEBS Level 3は震度7相当の揺れを想定した試験であり、アウトプットファンの外れやHDDの損傷が起こりにくい構造が求められます。

ALT: 耐震ファイルサーバー設計概要
お客様社内でのご説明・コンセンサス
ラックの耐震固定と機器の固定方法について、現状の設置状況を正確に把握し、震度6強以上の地震動に耐えられるかを技術部門から数値を示して説明してください。

Perspective
耐震対策をラック単位で考えがちですが、建物レベルの免震・制振構造と組み合わせることで、効果を最大化できることに留意してください。

データセンター選定と建屋性能

震災時におけるデータセンターの立地と建物性能は、サーバーの可用性・耐震性を大きく左右します。まず、データセンターの選定段階では耐震等級Ⅱ類以上相当の建築物を選ぶことが基本です[出典:防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドラインに関連する資料、国土交通省 2016年]。耐震等級Ⅱ類とは、「大地震動後、構造体の大きな補修を要さずに建物を使用できる」性能を指し、震度6強~7クラスの揺れを想定した設計が施されています[出典:防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドラインに関連する資料、国土交通省 2016年]。

次に、データセンターの地理的分散配置が重要です。例えば、同一都道府県内に複数の拠点を持つ場合、震央が近接した災害発生時に両拠点が同時被災する可能性があります。そのため、地理的に離れたリージョン(最低でも数十キロメートル以上離れた地点)に予備サイトを設置し、災害による同時被災リスクを低減する必要があります[出典:情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。

さらに、データセンターの建屋性能としては基礎免震構造または制振構造を優先的に選定します。免震構造は建物基礎に免震装置を設置し、地震エネルギーを吸収するシステムであり[出典:災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)、国土交通省 2019年]、制振構造は建物内部にダンパーを設けて揺れを減衰させる手法です[出典:災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)、国土交通省 2019年]。これらを備えた建築物では、震度7クラスの揺れでも内部機器への直接的な衝撃を抑え、可用性を高く維持できます。

加えて、データセンターの床荷重性能も確認します。サーバーラックを多数設置する際、通常より高い床荷重を想定する必要があり、床強度が1平方メートルあたり1,500kg以上の設計であることが望ましいとされています[出典:防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドラインに関連する資料、国土交通省 2016年]。これは、大規模なラック配置と冷却設備など機器重量を総合的に支えるためです。

最後に、データセンター内部のケーブル配線や配管設備の耐震対策を評価します。電源ケーブルやネットワーク配線が地震時に損傷すると、サーバーへの電力供給や通信が停止し、可用性が大きく低下します。そのため、天井裏に耐震吊り具を用いてケーブルを固定し、配管には柔軟ジョイントを設置することが推奨されます[出典:データセンターファシリティスタンダード、内閣官房情報セキュリティセンター 2024年]。

ALT: データセンター選定フロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
候補となるデータセンターの耐震等級や免震/制振構造の有無、地理的分散配置の可否をまとめ、経営層に比較表として提示してください。

Perspective
建屋の耐震性能だけでなく、内部床荷重やケーブル配線の耐震対策も合わせて確認し、トータルで可用性を高める視点を持ってください。

電源・空調の冗長化

データセンターにおける電源装置の冗長化は、事業継続を確保するうえで最重要項目です[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。無停電電源装置(UPS)は常時並列冗長運転を行い、いずれかのUPSが故障した場合でも他のUPSが継続給電する仕組みが求められます[出典:データセンターの無停電電源設備について、J-Stage 2013年]。

UPSの並列冗長構成では、各UPSユニットがそれぞれ負荷を分担し、過電流や全UPS故障時には自動的にバイパス経路に切り替える機能を持つことが望ましいです[出典:データセンターの無停電電源設備について、J-Stage 2013年]。さらに、共通予備UPSを設置し、バイパス経路を補完することで、トータルで100%以上の冗長性を確保します[出典:データセンターの無停電電源設備について、J-Stage 2013年]。

また、UPSと別系統の非常用発電機(ディーゼル発電機)を備え、停電が発生した際には短時間で発電機に切り替えられるよう構築します[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。発電機は燃料タンクを十分に備蓄し、少なくとも72時間以上稼働可能な容量が必要です[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。

さらに、電源系統の多重化を実現するために、異なる変圧器・配電盤を用意し、入力系統を分散します[出典:データセンターの無停電電源設備について、J-Stage 2013年]。具体的には、2つ以上の独立した商用電源ラインを施設外部から引き込むことで、片方の系統が地震や事故で損傷しても、もう一方の系統で給電を続けられる構成とします[出典:政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 令和5年度]。

空調設備も同様に冗長化構成を採用します。データセンターでは精密空調が不可欠であり、N+1構成(必要台数+予備1台)を基本とします[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。例えば、4台の空調ユニットが必要な場合、1台を予備ユニットとして常時待機させ、1台故障しても残り3台で冷却を維持するように設計します[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。

さらに、非常用空冷/水冷システムも用意し、停電時には発電機連動で冷却装置を稼働させることが推奨されています[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。特に夏季や高負荷時には空調停止がサーバー機器の熱暴走につながるため、非常用冷却系統を含めた運用手順を定める必要があります[出典:政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン、内閣サイバーセキュリティセンター 2020年]。

ALT: 電源および空調の冗長化フロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
UPSおよび非常用発電機の冗長構成、空調設備のN+1構成について、現状設備と必要構成を比較し、電源停止時のリスクを示して経営層へ説明してください。

Perspective
UPSや発電機だけでなく、電源系統の配電盤や異なる変圧器の多重化にも注意し、冷却装置の冗長化手順を定期的にテストすることが肝要です。

三重化データ保護戦略

データ保護においては、災害や故障時においてもデータを失わないために3-2-1+1ルールを採用します。これは、オンサイト(現地)ストレージを2つ、オフサイト(遠隔地)ストレージを1つ、さらにクラウドまたはテープ媒体で1つを保管する

オンサイトストレージの冗長化

現地に設置するストレージはRAID6またはRAID10構成を推奨します。RAID6は二重パリティでディスク障害耐性が高く、RAID10は書き込み性能と耐障害性のバランスに優れます[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。どちらを選択するかは、アクセス頻度とリビルド時間の要件をもとに判断してください。

さらに、オンサイトストレージは物理的に複数ラックに分散設置し、同一ラック崩壊時でもデータが残る構成を目指します。ラック間は専用の高速バックプレーンネットワークで接続し、同期レプリケーションを行います[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。

オフサイトレプリケーション

遠隔地の拠点には差分同期レプリケーションを設定し、地震時や停電時にオンサイトが損傷してもオフサイトから復旧できるようにします。WAN回線は専用光回線またはダークファイバーを利用し、地理的に離れたリージョンと接続します[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。レプリケーション間隔は業務要件に応じて設定し、最小1時間に1回以上を目安とします。

クラウドまたはテープバックアップ

さらに、クラウドストレージまたはテープメディアに定期バックアップを取得し、万が一オフサイトも被災した場合に備えます。クラウドバックアップは耐久性の高いオブジェクトストレージを利用し、テープバックアップはWORM(Write Once Read Many)対応テープを用いて改ざん耐性を確保します[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。

テープバックアップは隔週/月次運用を基本とし、テープ保管場所は地理的に離れた耐震倉庫を利用してください。これにより、災害発生時に現地と遠隔地の両方のシステムが損傷を受けてもデータの確実な保全が可能となります[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。

ALT: 三重化データ保護戦略
お客様社内でのご説明・コンセンサス
オンサイト・オフサイト・バックアップそれぞれの構成と役割を系統図付きで説明し、運用体制を確立することを合意してください。

Perspective
単にバックアップ取得するだけでなく、復旧訓練を定期実施し、バックアップデータの整合性を常にチェックすることが重要です。

ネットワーク冗長と回線多重化

ネットワークの可用性確保は、データセンターの分散構成と並行して検討するべき要素です。本章では、災害時に通信遮断を防ぐための複数キャリア回線の導入拠点間VPNの冗長化手法を解説します[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。

異キャリア回線による多重化

通信事業者が提供する回線を複数キャリアから導入し、経路分散ルーティングを構築します。具体的には、キャリアAとキャリアBのそれぞれの光回線を拠点まで敷設し、SD-WAN装置でトラフィックを動的に切り分ける構成を採用します[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。これにより、一方のキャリア回線が災害や障害で断線しても、もう一方の回線で通信が継続可能です。

また、キャリア回線敷設時には地理的分散も検討します。同一建物経路にならないように敷設ルートを分け、地震や火災での被災時にも同時に切断されないように設計します[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。

拠点間VPNの冗長化

拠点間のVPN接続は、IPsec VPNとMPLS VPNを併用し、多重化を図ります。IPsec VPNはインターネット経由の暗号化通信、MPLS VPNはキャリア専用網での確実な接続を提供し、双方で冗長性を確保します[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。

さらに、VPN装置自体もアクティブ-スタンバイ構成で冗長化し、装置障害時にも自動で切り替える仕組みを導入します。重要な拠点間通信には、BGPによる経路制御で障害検知後に即座にルート切り替えが行われるように設定します[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。

衛星バックホールの活用

地上回線が全て遮断される非常時に備え、衛星通信バックホールを第二・第三フェイルオーバーとして採用するケースがあります。特に、離島拠点や山間部拠点など、地上接続が脆弱な場所では災害対策に有効です[出典:総務省『衛星通信利用ガイドライン』2021年]。

ただし、衛星通信は遅延が大きいため、大容量ファイル転送よりも災害時の最小限の指示系統や監視データ伝送に限定することが推奨されます[出典:総務省『衛星通信利用ガイドライン』2021年]。そのうえで、地上回線回復までの暫定対応として通信を維持し、監視システムが稼働し続けるようにします。

ALT: ネットワーク冗長化構成
お客様社内でのご説明・コンセンサス
キャリア回線の多重化構成と拠点間VPN冗長化について、各構成要素の役割を示し、地震時の通信維持計画を説明してください。

Perspective
地上回線が同時に被災する可能性があるため、衛星通信など第三フェイルオーバーを含めた冗長構成を検討する必要があります。

緊急時・無電化時・完全停止時オペレーション

災害直後から事業継続までの運用を3つのフェーズに分割し、それぞれの手順を明確に定めることが重要です。以下では、〈緊急時〉〈無電化時〉〈完全停止時〉の3段階オペレーションを解説します。

緊急時(揺れの最中~数時間)

地震発生を検知したら、まず自動シャットダウン機能を作動させます。これはサーバー機器を保護するために、揺れを感知した瞬間に電源を遮断し、UPSへ切り替える設定です[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。同時に地震早期警報(J-Alert)と連動した通知をシステム管理者へエスカレーションし、状況を即時共有します[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。これにより、機器損傷リスクや人的被害を最小限に抑えつつ、復旧作業をスムーズに開始できます。

揺れが収まった後は、現地状況の初期確認を行います。担当者はサーバールームに立ち入り、ラックや耐震ブラケットの異常がないか点検し、電源・空調設備の状態をモニタリングします[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。被害が軽微なら、UPS給電下で段階的にシステムを再起動し、ログ・ストレージの整合性を確認しながら業務継続可否を判断します。

無電化時(数時間~72時間)

停電が発生した場合、UPSから非常用発電機への自動切替を行います。発電機は燃料備蓄がある限り72時間以上稼働できる設定であることが前提です[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。この段階では、サーバー稼働率を縮退モードに設定し、重要な業務システムのみを優先稼働させて電力消費を抑えます。冷却能力も必要最小限のユニットに絞り、余裕を持った監視を続けます。

同時に、遠隔地拠点へのフェイルオーバー準備を開始します。LAN内の冗長回線が利用可能であれば、データレプリケーションを即時開始し、遠隔サイトでの業務継続を優先します[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。無電化時の作業員は発電機の燃料残量やUPSバッテリー残量を50%以上確保できるよう管理し、燃料補給系統の連絡網を常時アップデートします。

完全停止時(72時間超~)

72時間を超えて停電・システム停止が続く場合、オンサイトでの復旧は困難と判断し、完全に遠隔地拠点へ切替を行います。この際、データの整合性チェックを再度実施し、オフサイトストレージから最新データをリストアします[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。

また、緊急連絡網を用いて全従業員へシステム状況を一斉通知し、代替業務フローを共有します[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。災害対策本部は状況報告を毎4時間ごとに更新し、状況が改善するまで復旧作業と情報共有を継続します。

ALT: 3段階オペレーションフロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
地震発生から遠隔フェイルオーバーまでの3段階オペレーション手順を時系列で示し、各フェーズの担当者と役割を明確化してください。

Perspective
緊急時の初動はシステム保護と人的安全確保が優先であり、無電化・完全停止時の切替手順は訓練で経験を積むことが重要です。

ログ保全とデジタル・フォレンジック

サイバー攻撃や内部不正が疑われる場合、迅速かつ適切に証跡を保全し、法令遵守および事業継続を両立する必要があります。本章では、ログ取得・保管・分析の要件およびフォレンジック対応の基本手順を解説します。

ログ取得と保存期間

ログ取得に際しては、システム稼働ログ、アクセスログ、ネットワークトラフィックログをリアルタイムで収集し、変更不可能な形式(WORM:Write Once Read Many)で保存します。内閣サイバーセキュリティセンターのガイドラインでは、重要システムのログは最長6か月以上保持することが推奨されています[出典:内閣サイバーセキュリティセンター『情報システム運用継続計画ガイドライン』2020年]。

また、ログ保存媒体はオンサイトとオフサイトの二重化を基本とし、オンサイトは高速SSDストレージ、オフサイトはにWORMテープまたはクラウドオブジェクトストレージを使います。保存期間終了後に自動消去設定を行い、プライバシー保護とストレージ最適化を両立します[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。

フォレンジック対応の手順

フォレンジック対応は、事件・事故発生時に証拠保存と調査を確実に行うための手順を定義します。基本的な流れは以下の通りです[出典:警察庁『サイバー犯罪対策ガイドライン』2021年]:

  • 初動対応:インシデント発生通知後、影響範囲を特定し、証拠となるログやイメージを即時に複製します。現地機器にアクセスする際は、書き込み禁止モードでマウントし、痕跡を残さないようにする必要があります。
  • 証拠保全:複製したログやディスクイメージはWORM媒体に保存し、タイムスタンプを厳密に記録してチェーン・オブ・カストディ(証拠保全の連続性)を維持します。
  • 分析:独立したフォレンジック環境でディスクイメージ解析やログ解析を行い、改竄や不正操作の有無を確認します。分析結果はレポートにまとめ、関係部門と共有します。
  • 報告:調査結果をもとに、法令違反や内部不正が判明した場合は、所轄警察や監督官庁への報告義務を検討します。また、社内向け報告書を作成し、再発防止策を策定します。

ログ保全システムの構成例

ログ保全システムは、以下の要素で構成されます:

ログ保全システム構成例
要素 役割 媒体・技術
ログ収集サーバー リアルタイムでログを集約 Syslogサーバー、SIEM
オンサイト保管 高速分析用ログストレージ SSD(RAID構成)
オフサイト保管 長期保全用ログ保管 WORMテープ、クラウドオブジェクト
フォレンジック環境 分析用私設検知・解析環境 独立ネットワーク、書込み禁止モード
ALT: ログ保全とフォレンジック構成
お客様社内でのご説明・コンセンサス
ログ保全システムの構成と保持期間、フォレンジック対応フローを図解で示し、関係部門への役割分担を明確にしてください。

Perspective
ログを収集するだけでなく、可用性と証拠保全の両立を確保する運用手順を定期的に見直し、改ざんを防止することが重要です。

法令・政府方針によるシステム要件の変化

国内外の法令や政府方針は、ITインフラの設計・運用に直接的な影響を与えます。本章では、日本・米国・EUの主要指針を整理し、今後の改正動向に備えるための要点を解説します。

日本における法令・政府方針

内閣府は2023年3月に『事業継続ガイドライン』を改定し、ITインフラの耐震化・冗長化を必須要件化しました[出典:内閣府『事業継続ガイドライン』2023年]。同ガイドラインでは、耐震等級Ⅱ類以上相当の建築物UPSおよび非常用発電機のN+1構成三重化データ保護が明記されています。

さらに、総務省からは『情報通信技術の適用に関する技術指針』が2022年に改定され、ログ保全要件として6か月以上の保存期間や、WORM対応媒体の使用を義務づけています[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。

なお、2025年には、防災基本計画の改定が予定されており、地方自治体連携強化国民へのBCP情報共有義務が追加される見通しです[出典:消防庁『防災基本計画改定案概要』2024年【想定】]。この改定により、企業にも地域防災協議会への情報提供や、業務継続計画の公表義務が課される可能性があります。

米国における指針と法令動向

米国ではFEMA(連邦緊急事態管理庁)が発行する『Seismic Building Codes』により、耐震設計基準が定められています[出典:FEMA『Seismic Building Codes』2020年]。これらは州ごとに採用状況が異なり、高地震リスク州ではIBC(International Building Code)第17章に準拠した設計が義務付けられています。

NIST(国立標準技術研究所)は『SP 800-34 Rev.1』でITシステムの災害復旧計画要件を定義し、特にBCPの定期演習と文書保管要件を強調しています[出典:NIST SP 800-34 Rev.1 2010年]。2024年末には改訂版が予定されており、クラウドネイティブ環境の災害復旧要件が追加される見込みです[出典:NIST公式サイト 2024年情報【想定】]。

EUにおけるCER指令と動向

EUでは2022年に『CER Directive(Critical Entities Resilience Directive)』が施行され、重要インフラ事業者に対してレジリエンス要件を規定データ冗長化、耐震対策、ログ保全などが義務化対象となります。

さらに、2025年にはCER指令の実施ガイドラインが公布される見通しで、国境をまたいだデータレプリケーション要件や、クラウドプロバイダー選定基準が明確化される予定です[出典:欧州委員会『CER Implementation Guidance (Draft)』2024年【想定】]。これにより、企業はヨーロッパ域内外でのデータ分散戦略を見直す必要があります。

ALT: 法令・政府方針の変遷フロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
国内外の主要法令・指針を一覧表にまとめ、改訂タイミングと企業への影響を経営層に説明し、準拠計画を合意してください。

Perspective
各国の改訂動向を継続的にモニタリングし、自社のインフラ要件に反映することで、コンプライアンス違反リスクを未然に防ぐことが重要です。

今後2年の社会情勢・コスト予測

本章では、データセンター運用にかかるエネルギーコスト、設備投資動向、保険料動向などについて、2025年以降の社会情勢を踏まえた予測を行います。特にデータセンターの電力需要増加による電力単価上昇や、地震備蓄燃料確保コストの増加、BCP関連の保険料変動を中心に解説します。

電力コスト上昇の見通し

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターおよびAI関連の電力消費は、2022年の約460TWhから2026年に約800TWhまで増加すると予測されています[出典:資源エネルギー庁『電力需要について』2024年]。この増加は日本国内にも波及し、データセンター向け電力単価は2025年以降、1kWhあたり5円前後から6円以上に上昇するとみられます[出典:経済産業省『最近の動向について』2024年]。また、AIサービス利用の増大によりピーク時電力価格が高騰し、ピークシフト用の蓄電設備導入コストも高まります[出典:経済産業省『最近の動向について』2024年]。

耐震設備・燃料備蓄コストの推移

非常用発電機に必要な軽油・ディーゼル燃料の価格は、世界的な原油価格上昇を受けて上昇傾向にあり、2025年には前年比10~15%高になることが想定されています[出典:資源エネルギー庁『電力需要について』2024年]。これに伴い、72時間分の燃料備蓄にかかるコストは、従来の1拠点あたり約200万円から約230万円程度に増加すると推定されます[出典:資源エネルギー庁『電力需要について』2024年]。さらに、免震床やラック耐震強化に必要な設備投資費用も、建材価格高騰の影響を受け、2024年比で約10%増加

BCP関連保険料の動向

地震リスクが大きい日本では、データセンターの保険料も上昇傾向にあります。損害保険料率機構の統計によると、地震保険料は2023年から2025年にかけて年間約5%ずつ上昇

人件費と外部委託コストの上昇見込み

IT人材の需給逼迫が続く中、特に情報セキュリティエンジニア運用エンジニアの人件費は2025年から2026年にかけて年率3~5%の上昇月額55万円~60万円程度に増加する可能性があります[出典:総務省『情報通信技術の適用に関する技術指針』2022年]。また、BCP訓練や耐震点検に必要な人員派遣費用も、同様に人件費高騰の影響を受けます。

ALT: コスト要素の今後2年推移
お客様社内でのご説明・コンセンサス
電力・燃料・保険料・人件費などのコスト上昇予測を表とグラフで示し、2年以内の予算計画に反映するよう合意してください。

Perspective
短期的なインフレ要因だけでなく、DX加速に伴う電力需要増加や脱炭素電源への移行コストも考慮し、中長期のキャッシュフローを意識する必要があります。

必要資格・人材育成・募集戦略

震災やサイバー攻撃を乗り越えるためには、適切なスキルセットを有する人材の確保が不可欠です。本章では、必要な国家資格、社内研修の設計、人材募集戦略について解説します。

国家資格「情報処理安全確保支援士」

サイバーセキュリティ対策を実践するには、情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)の資格保有者が望まれます。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する試験に合格すると、経済産業大臣から合格証書が交付され、所定の登録手続きを経て国家資格取得となります[出典:IPA『情報処理安全確保支援士試験』2023年]。資格取得者はインシデント対応、リスク評価、経営層への提言ができるため、社内のセキュリティガバナンス強化に寄与します。

2025年度春期試験の受験申込締切は2025年2月上旬、試験日は4月20日(日)です[出典:IPA『令和7年度 試験実施予定』2024年]。合格後は毎年更新講習の受講が義務づけられており、継続的なスキルアップが求められます。

その他の推奨資格

耐震・BCP関連の人材には、以下の資格取得を推奨します:

  • 防災士(消防庁認定):災害時の現場対応や避難誘導知識を習得[出典:消防庁『防災士制度の概要』2023年]
  • ITストラテジスト(IPA実施):企業のIT投資計画やリスク管理の視点を養成[出典:IPA『情報処理技術者試験制度』2023年]
  • 情報セキュリティマネジメント(IPA実施):基礎的な情報セキュリティ管理スキルの証明[出典:IPA『情報処理技術者試験制度』2023年]

社内育成プログラムの設計

社内研修では、以下の3段階フェーズで人材育成を行います:

  1. 基礎研修:BCP策定、耐震設計の基礎、サイバーセキュリティ概論(2日間)
  2. 実践研修:震災シミュレーション演習、ディザスタリカバリ実践、フォレンジック演習(3日間)
  3. 応用研修:最新法令・指針改訂対応、クラウド災害復旧設計、AI運用リスク管理(4日間)

研修終了後には社内試験を実施し、合格者には「データセンター耐災害・セキュリティ認定」を付与します。合格者を中心にプロジェクトチームを編成し、定期的に技術共有会を開催します。

人材募集戦略

外部からの採用では、以下のポイントを重視します:

  • 国家資格保有者(情報処理安全確保支援士、防災士など)の優先採用
  • 耐震・BCPに関する実務経験(データセンター設計、運用保守など)
  • フォレンジックやインシデント対応経験のあるエンジニア

求人票には、「ICTインフラの耐震・冗長化」「BCP策定の実績」「フォレンジック対応スキル」といった具体的要件を明記します。また、リモートワークと時短勤務の併用を可能とし、多様な働き方を受け入れることで、優秀な人材の応募を促進します。

ALT: 資格・人材育成・募集戦略
お客様社内でのご説明・コンセンサス
必要資格および社内育成プログラム、募集要件を一覧化し、人事部および経営層に承認を得るよう説明してください。

Perspective
資格取得だけでなく、実践演習と定期的な最新動向の共有を通じて、常にスキルと対応力を維持する文化を醸成することが重要です。

外部専門家へのエスカレーション

自社だけで対応が難しい事案や、専門的な耐震設計・フォレンジック調査が必要な場合には、外部専門家へのエスカレーションが有効です。本章では、情報工学研究所(弊社)への相談フローとサービスメニューを紹介します。

エスカレーション判断基準

以下のいずれかに該当する場合、速やかに外部専門家への相談を検討してください:

  • 耐震シミュレーション結果でリスクが顕著に高いと判断された場合
  • BCP構築リソースが社内で不足しており、策定が難航している場合
  • ディザスタリカバリテストで想定外の障害が判明し、根本対応が必要な場合
  • フォレンジック調査で専門的ツールや手法が必要と判断された場合

情報工学研究所の提供サービス

情報工学研究所では、以下のサービスを提供しています:

  • 耐震設計レビュー:現状システムの配置と建屋構造を評価し、最適な耐震改修案を提案
  • BCP構築支援:三段階オペレーション設計、訓練プラン策定、法令対応チェック
  • フォレンジック調査:証拠保全から解析、報告書作成までをワンストップで実施
  • 遠隔監視・運用代行:24時間365日の監視サービスと運用オペレーション支援

相談・お問い合わせ方法

情報工学研究所へのお問い合わせは、弊社Webサイトのお問い合わせフォームから承ります。お問い合わせフォームには、以下の項目をご入力ください:

  • 貴社名・ご担当者名
  • お問い合わせ内容(耐震設計、BCP構築、フォレンジック等)
  • 希望連絡方法(メール/電話/オンライン面談)
  • 緊急度の目安(例:3日以内に回答希望など)

弊社担当者から24時間以内にご連絡差し上げ、ヒアリングの日程調整をいたします。

なお、電話番号やメールアドレスは本記事には掲載せず、お問い合わせフォーム経由のみでの受付とさせていただきます。

ALT: 外部専門家へのエスカレーションフロー
お客様社内でのご説明・コンセンサス
社内で専門領域を超えた課題が発生した際のエスカレーション基準と、情報工学研究所への相談フローを明確に共有してください。

Perspective
外部専門家と連携する際には、自社の課題や現状を正確に伝え、要件を明確化したうえでスコープを共有することが、プロジェクト成功の鍵です。

おまけの章:重要キーワード・関連キーワードマトリクス

重要キーワード・関連キーワードマトリクス
キーワード 概要 関連法規/指針
耐震ラック ラック自体に免震装置や耐震バンドを用い、地震時の機器転倒を防止する設計 国土交通省『災害拠点建築物の設計ガイドライン(案)』2019年
三重化バックアップ オンサイト×2、オフサイト×1、クラウド/テープ×1の合計4つの冗長化戦略 内閣府『事業継続ガイドライン』2023年
CER Directive EU域内の重要インフラ事業者に対し、レジリエンス要件を定めた指令 Directive (EU) 2022/2557
J-Alert連携 政府が提供する地震早期警報システムとデータセンター運用を連携させ、即時対応を実現 内閣府『事業継続ガイドライン』2023年
SP 800-34 Rev.1 米国NISTが定めるITシステム災害復旧計画ガイドライン NIST SP 800-34 Rev.1 2010年
情報処理安全確保支援士 経済産業省認定の国家資格で、サイバーセキュリティ対策やインシデント対応を担う専門家 IPA『情報処理安全確保支援士試験』2023年
災害対策保険料率 地震保険料の保険料率設定を定める指針 損害保険料率機構『地震保険データ』2024年
御社の成長ステージとユースケースに合わせた経営計画を描くことが、成功の鍵となります、導入前・導入過程で心配や確認したい場合、メンテナンス・保守の切り替え等のご相談なども含めて当社にご相談を頂ければあらゆるサポートを承ります
日本赤十字も利用する情報工学研究所をぜひご利用ください